障がい児ショートステイとは?利用方法とメリットを解説 | ケア21コラム
1.障がい児ショートステイの概要
障がい児のショートステイは、国によってルールが細かく定められています。まずは、その概要についてご紹介します。
障がい児ショートステイの定義と目的
障がい児(18歳未満)・障がい者(18歳以上)に対する福祉は、「障害者総合支援法」という法律によって規定されています。この法の目的は、少し硬い表現となりますが
「障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営む」 ことです。地域での暮らしも含めた総合的な支援を行うことが明記されています。
この中で、障がい児のショートステイ(短期入所)は、「自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行う」、とされています。
福祉型と医療型の違い
障がい児のショートステイには、「福祉型」と「医療型」があります。
福祉型
施設内で、食事・排泄等の生活面での介助、レクリエーション等の支援、就寝時の見回り支援などを、主に介護士が担当します。福祉型の施設では一般的に、医療的ケアには対応していません。また、宿泊なしで日中の預かりが可能な施設もあります。
福祉型ショートステイは、障がい者支援施設や児童福祉施設などで実施されています。これらの施設には
●障がい児のみがいる施設/18歳以上の障がい者も一緒にいる施設
●そこで生活している方たちもいる施設/ショートステイ専門の施設
●医療的ケアが必要な障がい児が一緒にいる施設/一緒でない施設
といった違いがあるため、滞在を希望する児童の特性や要望に合わせて選ぶこととなります。
医療型
医療的な管理のもと、各種の生活介助、児童ごとの医療的ケア、看護などが実施されます。病院や医院、介護医療院などが医療型ショートステイの設備を整えており、児童の介助等を担当するのは主に看護師です。また、こちらも宿泊なしで、日中の預かりが可能な施設があります。 ショートステイ中に児童が体調不良となった場合は、速やかに家族と連携して、自宅・かかりつけ医への搬送、入院措置への移行などの適切な対応がとられます。
障がい児ショートステイの対象者
福祉型
自宅で生活している、厚生労働省が定める障がい支援区分が「区分1」以上(区分の詳細は項目5.をご覧ください)で、医療的ケアを必要としない障がい児が利用できます。
医療型
自宅で生活している、医療的ケアが必要な障がい児が利用できます。厚生労働省によると「遷延性意識障害児、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を有する者及び重症心身障害児 等」と示されています。 自治体によっては、「重症心身障がい児」に該当する児童向けに、短期入所の支援事業を展開しているところもあります。
2.障がい児ショートステイのサービス
ショートステイは夜間中心の滞在となるため、就寝前・起床時の介助や就寝中の見守りといった、日中にはあまり行われないサービスも提供されます。
基本的な介助サービス
入浴、排せつ、食事、着替え等、生活行動の介助や見守りなど、児童の状態に合わせた支援が行われます。支援の程度や内容については、利用者と施設の双方が、事前の打ち合わせで丁寧に確認しておいて実施する形となります。
医療ケアが必要な児童へのサポート
医療的ケアには人工呼吸器、気管切開、吸引、経管栄養(経鼻、胃瘻、腸瘻)、導尿など、さまざまな種類がありますが、これらも、事前の打ち合わせで何をどう行うか、双方がきちんと確認し合って行います。
施設内での活動
施設到着後、生活行動の合間や就寝までの時間は、それぞれの希望に合わせて過ごせるよう配慮されます。就寝時刻を落ち着いて迎えられるよう、活動量の多いレクリエーションなどは行わない方針の施設が多いようです。 就寝までの過ごし方は、利用者同士が共有部で団らんしたり、部屋でテレビやゲームを楽しむなど、児童によってさまざまです。
3.障がい児ショートステイのメリット
障がい児ショートステイは「もしもの時だけでなく、介護の休息のためにも利用できる」もので、障がい者の保護・介護を担当する方のレスパイト(休息)という役割も担っています(※1)。
家族と児童のための許可
障がい児、とくに医療的ケアが必要な障がい児は、生活リズムを児童に合わせて介護や看護を行う必要があるため、介護者は睡眠時間の確保さえ難しいこともあります。
他の家族との時間が減ることなどもあり、介護者がなかなかゆとりを持つことができませんし、ご自身でもそれを「許さない」ような感覚になられたりするようです。しかし、
・ 介護者が休息や息抜きをする(レスパイト)
・ 他の兄弟・姉妹との時間の確保や、他の家族の介護などのために時間を持つ
上記のような理由から、ショートステイを上手に利用して休息等の時間をつくることは、介護者にとって大切です。国もこうした利用を施策として周知・拡大しています。遠慮せず、息抜きをしましょう。
緊急時の利用例
レスパイトだけでなく、急な用事やトラブルのときにもショートステイは利用できます。
・ 介護者に、冠婚葬祭などの用事や仕事ができた
・ 介護者が体調不良・病気になった
・ 家族の急病、事故などの緊急時
そのために、事前に手続きを進めておくことが必要です。できれば何度かサービスを利用しておき、児童が施設に慣れてくれていれば、介護者はより預けやすくなるでしょう。 緊急時を想定するならぜひ、「利用できる状態」を作っておきましょう。また、予約が空いていない場合もあるので、そうした施設ができれば複数あればさらに安心です。
施設利用者の声と体験談
各施設のホームぺージには、利用者の方の声が載っていると思います。
その一例として、ケア21が運営している「リールスステイ」を利用された、保護者の方の声を紹介します。利用された保護者の方が、どのようことを感じられたか、参考になると思います。
(著作権保護等の観点から、自社データのみ情報を掲載します)
4.障がい児ショートステイの利用料金
障がい児のショートステイの料金は、国や自治体の助成制度で少なくとも一部をまかなえます。食事代などは別途、実費が請求されることが多いようです。
一泊の費用と助成制度
施設の「利用料」は、利用者側の負担額として、料金の1割が請求されます。ただし、1ヵ月の請求合計額は、受給者証に記載してある「負担上限月額」までとなります。記載が「0円」となっているなら、利用者負担額はありません。
この利用料の助成は、「在宅サービス」の「介護給付」の仕組みから行われます(※2)。
それとは別に、滞在でかかる「実費」分は、利用者が負担します。これは施設によって、食事代や光熱水費、日用品代など、請求項目や価格が異なります。 たとえば1泊2日、夕食・朝食付きで「実費」分の負担額が1,300円、などとなります。
その他の費用(持ち物や追加サービス)
利用する施設によって、持ち込む必要があるもの、逆に、持ち込めないものがあります。詳細は各施設に確認しましょう。
持ち物の例としては、着慣れている衣類、歯ブラシ等の洗面用具、タオル類、服用している薬、必要な方は車椅子や紙おむつ、生理用品などが挙げられます。
持ち込むものを選ぶ際は、宿泊する障がい児の方が、なるべく普段通りに過ごせるようなものが望ましいと言えます。また、持ち物にわかりやすく記名しておくことも大切です。
5.障がい児ショートステイを利用したい
18歳未満で在宅にて生活する障がい児であれば、保護者による手続きを経て、障がい児ショートステイを利用できます。
利用可能な年齢と支援の区分
国内でのショートステイサービスの対象者には、18歳未満の障がい児、18歳以上64歳未満の障がい者、65歳以上の高齢者がいます。
このうち、障がい児と障がい者は、「障害者総合支援法」の中で定められた「自立支援給付」という仕組みからサービスが提供されます。65歳以上になると、主に介護保険の仕組みを用います。
そして障がい児ショートステイサービスを受けられるのは、1.でも述べたように「厚生労働省が定める障がい支援区分」において、「区分1以上」の障がい児です。
この区分の正式名称は「障害児に係る(かかる)厚生労働大臣が定める区分」と言い、内容は以下の通りとなっています。
障害児に係る厚生労働大臣が定める区分
区分3 | 食事・排せつ・入浴・移動のうち、3つ以上が全介助 |
区分2 | 食事・排せつ・入浴・移動のうち、3つ以上が全介助または一部介助 |
区分1 | 食事・排せつ・入浴・移動のうち、1つ以上が全介助または一部介助 |
なお、18歳以上64歳以下の障がい者は、厚労省でなく居住地域の自治体が管轄・規定する区分認定を受けることとなります。
区分の認定と受給者証の取得方法
上記の「厚生労働省が定める障がい支援区分」の認定を受け、さらに、ショートステイサービスを利用することを自治体が証明する「受給者証」を取得することが、このサービスを利用する必須条件となります。
また、医療型ショートステイを利用する場合は、この2つに加え「医療的ケア判定スコア」(※3)の書類を、かかりつけ医か主治医に作成してもらい、自治体へ提出する必要があります。 すでに療育手帳等の障がい者手帳を取得しているなら、同じ窓口で、厚労省による区分認定と受給者証の取得を相談できると思います。手帳がない場合でも、居住地域を管轄する役所の障がい福祉窓口へ相談すれば、利用手続きを進められます(ショートステイの利用の際、障がい者手帳は必要ないと定められています)。
利用までの流れ
障がい児ショートステイを利用するまでの流れをまとめると、
自治体の窓口(障がい児の相談支援窓口や福祉課など)に相談する
↓
厚労省の区分認定と、受給者証取得のための申請を行う
↓
自治体担当者から認定のための聞き取り調査などを受けつつ、必要な書類を提出
↓
自治体内の審査などを待ったのち、区分認定の決定書類と受給者証を受け取る
↓
利用を希望する施設へ問い合わせて、見学や利用手続きのための日時を予約
↓
利用を決めた施設へ必要な書類を提出し、利用の事前打ち合わせや日程を予約
↓
ショートステイサービスの利用を開始
となります。とくに自治体への手続きは、審査もあるので相応の時間がかかります。実際、国内の主要な都市部の自治体情報を複数、確認してみると、多くで申請から認定書類受給までの期間が「1~2ヵ月」とされていました。利用を検討するなら、早めに手続きを始めることをおすすめします。
また、利用したい施設のめどがついている場合は手続き前でも見学予約を入れ、実際の見学の際に、施設職員へ必要な手続きについて確認・相談してみましょう。その地域での進め方や内容を、具体的に教えてもらえると思います。
ほかに、居住エリア内の「障がい児相談支援窓口」、「児童相談窓口」、「児童相談所」、「保健所」などでも確認・相談ができると思いますので、問い合わせてみてください。 さらに、医療的ケアが必要な児童が定期通院する病院・医院に、もし、医療ソーシャルワーカーが在籍しているなら、その窓口で相談することも可能です。
6.障がい児ショートステイの施設選択
サービスをどの施設で利用できるか、という情報は、国や自治体のホームページだと少しわかりにくかったり、一括掲載でない場合もあります。推測になりますが、おそらくこれは、最新情報が細かく変化することがあるからだと思われます。
市区町村の担当課での相談
障がい児ショートステイサービスの施設所在地や内容、状況などを、まとめて大まかに知りたいのであれば、住んでいる自治体の、障がい児福祉の担当窓口に確認するのがおすすめです。
こうした窓口では、各施設の紹介チラシなどを揃えてあったり、施設ごとのサービス内容を知ったうえで、おすすめの施設情報などを教えてもらえるはずです。また、混雑具合などの情報も、ある程度まで把握していることが多いと思います。
医療関係者や身近な方からの情報収集
定期通院している医院や病院に医療ソーシャルワーカーがいる場合、地域施設の情報を把握していることが多いようです。また、家族会などで知り合った方がいるなら、そのお子さんが通っている施設の情報を知っている可能性があるので、信頼できる方に質問・相談してみることもおすすめです。
施設の予約の取りやすさと選び方のポイント
施設の予約状況は、その立地や現在、通っている児童の状況などによって、刻々と変化します。ですので一概に「この施設なら予約が取りやすい!」とわかる探し方というのは、残念ながら存在しません。 ただ、保護者として、対象児童がどのような施設ならショートステイを受け入れやすいか、情報を集めるうちに、徐々に予想ができ始めることかと思います。候補が見えてきたら、見学に行って移動手段や時間、施設の様子などを確かめていきましょう。
7.障がい児ショートステイのまとめ
さまざまな情報をご紹介してきましたが、最後に、障がい児ショートステイについてまとめておきます。
よくある質問とその回答
「Q&A」は、各施設のホームページなどに、やはり情報が載っていることと思います。
ケア21運営の施設「リールスステイ」のWEBサイトにもQ&Aを掲載しているので、ご参照ください(下にその一部を抜粋します)。
質問と回答の一例
- リールスステイ事業所の対象年齢制限はありますか?
-
短期入所は、成人(18歳~通常65歳まで)に加え児童(就学児・未就学児)も対象としたサービスです。 児童が対象となるかどうかは、リールスステイ事業所によって異なります。 どうぞお気軽にお問い合わせください。
- 契約手続き前に事業所見学は可能ですか?
-
リールスステイ事業所では、ご利用開始前に見学をして頂いています。 ご本人が通いたいと思っていただいてから、お手続きを進めていただくようにお願いしています。 まずはお気軽に最寄りの事業所にお問い合わせください。
- 利用日数に決まりはありますか?
-
お住まいの市区町村(障がい支援担当窓口)が支援の必要性を勘案し決定します。 窓口での申請にあたっては、必要とする日数やその理由を明確に伝えて頂くことが重要です。
利用前に知っておくべきこと
施設の様子は、必ず事前見学をして知っておきたいところです。滞在中のサービス内容、持ち物、利用料金、移動手段(送迎があるかどうか、どれくらい時間がかかるかなど)も、事前チェックが欠かせません。 また、キャンセル料金や滞在中の緊急時対応、保護者の都合で急に預けたい場合はどの程度どのように対応してもらえるか、など、先々で気になりそうな点も、気づいたら確認しておきましょう。
障がい児ショートステイのまとめ
障がい児の方がステイしてみたいと思う時期が必ず叶うとは限らず、混み具合などのタイミングというものはあることと思います。ですから複数の施設を、できれば利用していくようにすると、いざという時の助けになります。
施設数自体、どうしても地域差があります。しかし全国の各施設とも、たとえば実費が少し発生しますが、ある程度の幅広いエリアまで送迎を行ったり、時間外対応をしたりするなど、なるべく利用者のご希望に添う形で滞在が実現するよう、工夫と経営努力を重ねていることと思います。
障がい児の方がさまざまな経験を重ねる、その手段のひとつ、という意味でも、ショートステイの利用をご検討いただければと思います。
ケア21でもショートステイサービスを実施しています
株式会社ケア21が運営する「リールスステイ豊中」「リールスステイ伊丹」でも、障がい児のショートステイサービスを実施しています。
障がい者の居住施設併設のショートステイが多いなか、「リールスステイ」はショートステイ専門の施設となっています。また、ご利用者向けの無料Wi-Fi、希望者への部屋用TV無料貸出があり、レクリエーションイベントを開催することもあります。お気軽にお問い合わせください。
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