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認知症とともに生きるためのケア&サポート施設、グループホーム

認知症とともに生きるためのケア&サポート施設、グループホーム

認知症グループホームのサービスでは、少人数での共同生活の中で、認知症ケアだけではなく
入居者のやりがいや自立の気持ち、イベントによる非日常の刺激などもサポートします。
症状の進行に対応しつつ、「その人らしさ」を大切にして暮らせる場であるとも言えます。

認知症ケアに特化したグループホームとは

国内で「グループホーム」と呼ばれる施設は、主に2種類あります。
一つが、障がいをもつ方たちが共同生活を送るもの。
もう一つが、地域に住む高齢の認知症の方たちが、サポートを受けつつ共同で暮らしていくものです。

認知症グループホームの基本的な定義

国内の認知症グループホームの正式名称は「認知症対応型共同生活介護」です。この施設は、厚生労働省によって以下のように定義されています。

認知症(急性を除く)の高齢者に対して、共同生活住居で、
家庭的な環境と地域住民との交流の下、
入浴・排せつ・食事等の介護などの日常生活上の世話と機能訓練を行い、
能力に応じ自立した日常生活を営めるようにするもの

つまりこの施設では、介護保険の制度を利用し、家庭的な環境下でリハビリや介護、日常生活のケアを受けながら、共同生活を営みます。

認知症ケアの必要性と地域への影響

認知症の方をケアする施設へ「介護保険制度」の適用が定められたのは2000(平成12)年です。そこから数回の制度・プラン変更を経て、現在のルールでは認知症の方に対する支援を、地域全体で行うことが求められています。その基本の考え方は

 ・認知症の発症を遅らせる
 ・認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指す
 ・認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」※1)と「予防」※2)の施策を行う

となっています。

また、社会での共生を実現するために地域へ期待される役割としては

 ・認知症サポーター等による見守り
 ・配食などの生活支援サービスや、権利擁護など地域支援事業の活用
 ・市民後見人の育成及び活用
 ・認知症の方やその家族に対する支援団体による電話相談や交流会の実施

といったものがあります。自治体は必要な介護サービス体制を確保し、支援と推進を図るよう求められていて、その仕組みのひとつとして、自治体が事業者へ許可を出して運営される「認知症グループホーム」も存在しています。

注)
※1 「共生」は認知症の人が、尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でともに生きるという意味。
※2 「予防」とは「認知症にならない」ということでなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行をゆるやかにする」という意味。

出典・参考 厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会資料「認知症への対応力強化(地域包括ケアシステムの深化・推進)」 令和5(2023)年8月
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001140075.pdf


グループホームと老人ホームの違い

高齢の認知症の方が入居できる施設には、認知症グループホーム以外に、認知症へ対応している老人ホーム(介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム)、同じく認知症へ対応している高齢者向け住宅があります。
認知症グループホームでは、認知症の症状をもつ入居者が少人数で共同生活を送ります。施設は個室付きながら家庭的で、日々、専門知識を持つ介護スタッフから必要なケアやサポートを受けられます。
1フロア(ユニットと呼びます)の人数は5~9人(1施設では最大3ユニット、27人まで)なので、居住する建物も、わりと小規模なことが多いのが特徴です。
希望者は居住地域内の施設に入居できて、住み慣れてきた環境で暮らし続けることができる仕組みとなっています。

老人ホームおよびサービス付き高齢住宅(サ高住)と、グループホームとの大きな違いは、規模(居住する人数とアットホームな感覚の度合い)、提供されるサービスやサポートの内容です。
グループホームのように、認知症に特化したスタッフとともに生活を送るわけではないことが、もっとも違う点であると言えます。

老人ホームは居住者が同一の建物で居住し、食事提供などのサービスや各種サポートを受けるもの、サ高住は見守りや生活相談などを受けられる賃貸型の住宅です。
ともに小規模~大規模までさまざまで、部屋の設備、認知症への対応状況、日常の各種サポート・サービス内容も、施設によって異なってきます。

認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の仕組み

認知症グループホームへ入居できるのは、認知症であると医師に診断され、かつ、要介護認定による介護度が要支援2、あるいは要介護1~5の方です。

認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の特徴、サービス

認知症グループホームについてイメージするなら、認知症のことをよく理解したスタッフがサポートする「大きめのシェアハウス」といったところでしょうか。

建物には個室スペースのほかに、共有の居間、浴室、トイレ、食堂、キッチンなどのスペースが設けられています。入居者の方たちは個々の状況や症状に応じ、家事(調理や盛り付け、片付け、洗濯、掃除など)を、スタッフとともに担います。
また、散歩などで外出したり、イベントで来訪者や地域の方たちとコミュニケーションをとる機会なども設けられます。

認知症グループホームではこのように、基本的には居住者の方たち自身で暮らしを形づくっていきます。何らかの役割を担い、達成していく「日々のやりがい」を感じることや、他者・外部からの刺激、個室での時間といった「メリハリのある生活」を送ることが、認知症の進行をゆるやかにするとされています。

入居に必要な条件と手続き

入居希望者が選べるのは、現在の居住地域にある施設となります。
今回は一例として、弊社ケア21運営のグループホームでお伝えしている内容を掲載します。他の施設でも同様か、少し違いがある程度だと思います。


●ケア21 認知症グループホーム「たのしい家」 

~ご入居いただける方について~
 1 介護保険法に定める要介護認定において要支援2~要介護5に該当し、かつ、認知症と診断されている方
 2 常時医療機関で治療する必要のない方
 3 結核や疥癬(かいせん)※3)など伝染する疾患のない方
 4 自傷や他害の恐れのない方
 5 施設のある市区町村に住民票がある方
 *在宅酸素、人工透析などの医療対応につきましては、個々に相談させていただきます。

注)
※3 疥癬(かいせん)とは「ヒゼンダニ」というダニが皮膚に寄生して、人から人へ感染する疾患です。

非常に多数のダニが寄生した角化型疥癬(かくかがたかいせん・正式名称は痂皮型疥癬[かひがたかいせん])、少数のダニの寄生で激しいかゆみが生じる普通の疥癬(通常疥癬)とがあり、赤いブツブツや、疥癬トンネルという特徴的な皮膚の症状が見られます。


●ケア21 認知症グループホーム「たのしい家」

~ご入居までの流れ~

ご相談・お問い合わせ
ホームでの生活やご入居までの流れなど、皆様の疑問にお答えさせていただきます。
    ↓

ご見学・ご相談
ホームをご見学いただき、介護や入居に関する相談に応じます。
    ↓

入居申し込み
入居を希望される場合は入居申込書、当社指定の診断書をご提出いただきます。
    ↓

書類確認
ご提出いただいた書類をもとに、ホームでの生活にご支障がないか確認させていただきます。
    ↓

ご面談
入居者様の心身状況やご家族様のニーズを把握させていただくため、面談をさせていただきます。
    ↓

入居契約
「たのしい家」にご納得いただけましたら、正式に契約となります。契約後、入居時に必要な費用をお振込みいただきます。
    ↓

ご入居
スタッフ一同、「たのしい家」でお待ちしております。


認知症高齢者グループホームのメリットとデメリット

認知症グループホームは認知症の症状に対応が特化している施設なので、一般的な老人ホームとは「暮らし方」が違う部分があります。

メリット:アットホームな個別対応とアクティビティ

施設での1ユニットの人数は5~9人と定められていて、皆、その地域の住民です。
認知症の専門知識を備えたスタッフはおおよそ、入居者3人につき1人(ただし24時間「3対1」体制ではなく、時間帯によって変動)の割合で配置され、全員が認知症について研修を受けています。

グループホームで暮らすメリットとしては、この専門スタッフの配置・見守り体制とともに、慣れ親しんできた居住地域での生活、少人数のアットホームな雰囲気、各種イベントへの参加による刺激などが挙げられます。以下に詳細を説明します。

施設での暮らしにおいて、日々の家事は同じユニットの人たちで主に分担し、その間、スタッフは危険がないかの見守りと、居住者が上手にできない部分の補助、緊急対応などを担当します。
スタッフの見守りのもと皆で手を動かすことで、手足・脳などへの刺激を継続できるうえ、その作業中に1つのチーム、仲間のような空気感が生まれます。

家事の段取りと手順を自分たちでも考え、協力し合って毎日の家事を達成する。その中で自然に、他者とのコミュニケーションも生まれる。日々のこうした刺激と役割意識が、認知症の進行を抑えるのに効果的とされています。

グループホーム入居者の様子イラスト。室内で折り紙、秋の紅葉散歩

また、施設では、個人の好みに応じた趣味活動(日常的で気軽なもの)も行えます。正月祝い、ひな祭り、端午の節句、クリスマスといった季節性の各種イベントも、多くのグループホームで1~3カ月に一度程度、行われるようです。
その際、クリスマスなど「室内を飾って楽しめるもの」は、その飾りづくりや飾りつけも、皆で楽しんで行う時間が設けられています。

お出かけや外部との交流は地域や施設の特性によってさまざまです。日常的には定期的な散歩などのほか、買い物へ行く場合もあります。
春や秋には皆で自然を感じに出かける、地域ボランティア活動への参加、地域住民・保育園施設の子どもたちなどを招いての交流イベント、講話やエンターテイメント系の対面またはネットイベント(例:高齢者向けのオンラインコンサート)などが行われているようです。いずれも、認知症の方の特性に合わせた内容で実施されます。

デメリット:費用と退去のリスク

グループホームは、専門知識を持った職員が暮らしを見守りながら臨機応変に生活をサポートする形式の施設なので、費用は少し高めと感じられることが多いとされます(施設の体制や立地条件、サービスの内容などによって価格が違います)。

また、入居時から「常時の自立生活(日常の家事や入浴等の動作を、基本的には自分でこなせる状態)」が条件の施設では、入居者の方が何らかの理由により、自立生活が難しくなった場合、退去を求められることがあります。
さらに認知症の進行などにより、ご本人が共同生活自体を拒否されたり、日常の医療的ケアのレベルが高度になった方についても、同様に退去を求められることがあります。

こうした退去についてはあらかじめ、契約書を含め確認しておくとともに、万が一、退去になったあとの対応についても、ケアマネジャーさんなどへ確認、検討しておくと安心です。

入居している方の生活の様子

日々の暮らし方については、これまでざっと説明してきましたが、実際に、グループホームの入居者の方々がどのように過ごされているか、気になる方も多いと思います。
そこで、実例として現在、弊社が運営しているグループホームの様子をご紹介します。各地の入居者の方々の活動を、簡潔なブログ記事で紹介していますので、よろしければご覧ください。

●たのしい家南浦和 レクリエーションの一コマ(ボール投げ)
https://www.tanoshii-ie.jp/album/618240701/

●たのしい家 栄生 春のパン祭り
https://www.tanoshii-ie.jp/album/291240501/

●たのしい家金山 指の運動をしましょう
https://www.tanoshii-ie.jp/album/295240201/

●たのしい家 東淀川相川 裏庭の畑で育てていたスイカ収穫
https://www.tanoshii-ie.jp/album/702230901/

●たのしい家 駒川中野 ふれあい喫茶
https://www.tanoshii-ie.jp/album/615240601/

●たのしい家 大倉山 七夕
https://www.tanoshii-ie.jp/album/713240701/

●たのしい家 梅津 花植え
https://www.tanoshii-ie.jp/album/725230601/

●たのしい家 千葉中央 敬老のちらし寿司
https://www.tanoshii-ie.jp/album/757240901/

認知症の種類とその対応策

「認知症」という名称は、表れてくる症状をまとめて指す呼び方で、その原因となる病気は多様です。認知症は加齢による単なる物忘れとは違い、脳の萎縮(いしゅく)などによって起こる症状です。

認知症の種類と症状

認知症は記憶障害、判断力の低下、見当識障害(けんとうしきしょうがい・今日の日付や自分が今いる場所が分からなくなる)といった状態を引き起こす、脳の機能の障害です。この障害で日常生活に支障が出るようになると「認知症」と呼ばれます。

認知症を発症する人の多くは、「アルツハイマー型認知症」に該当すると言われています。
初期には「もの忘れ」で症状を自覚できますが、「年齢のせいかな」「疲れているのかも」と、自分を納得させ済ませる人が多いようです。
また、症状の現れ方日によって、あるいは相手によって波があるため、家族も「なんとなく、いつもと違うな……」という違和感は持ちつつも、受診を勧めるには至らず、といった状況になるようです。

・アルツハイマー型認知症の特徴、進行したときの状態など
アミノロイドβ(ベータ)という特殊なたんぱく質が脳へ溜まり、そのために脳神経が変性(性質が変化)して、脳の一部が萎縮することで発症します。 進行していくと、記憶障害や見当識障害、実行機能障害(計画して実行することが難しくなる、たとえば段取りが悪くなったり手順を思い出せなくなる)、認知機能障害(記憶力や注意力、実行力、知覚などが衰えて、言葉、動作、認知、ものごとを計画立てて行う能力などが障害される)といった症状が現れます。

ほかには「レビー小体型認知症」と呼ばれるものもあります。レビー小体も異常なたんぱくの一種で、大脳皮質(脳全体の表面を覆う部分)の広い範囲に現れます。この認知症では「幻視(げんし・実際にはいない人や小動物などが見える)」が特徴的症状と言えます。

・レビー小体型認知症の特徴、進行したときの状態など
ルビー小体が現れる原因は、脳の年齢的な変化であると考えられています。脳の神経細胞が徐々に減っていき、とくに記憶に関わる「側頭葉」という部位や情報処理に関連する「後頭葉」の部位が萎縮して幻視が出やすく、かつ繰り返しやすいとされます。 記憶障害を中心とした認知症、動作が遅くなって転びやすくなるパーキンソン症状、見当識障害などが現れたりしますが、患者本人は病気を認識しないこともあります。発症する確率は男性が女性の2倍高いとされ、早い人だと40歳くらいでも発症すると言われています。

さらに「血管性認知症」は、脳卒中など脳の血管障害によって脳組織が破壊され、主に精神機能が失われる病気です。
認知症としての主な症状は、日常生活に支障をきたすほどの記憶障害と、認知機能障害です。「まだら認知」と呼ばれる、ある分野のことはしっかりできるのに、別のある分野のことがまったくできない状態になることもあります。また、症状の現れ方にも特徴があります。

・血管性認知症の特徴、進行した時の状態など
血管性認知症では、症状が突然出現したり、落ち着いているかと思うと急に悪化することを繰り返すなど、変動がしばしば見られます。 また、血管障害が起こった部位によっては、歩行障害や手足のマヒ、ろれつが回りにくくなる、パーキンソン症状、排尿障害(頻尿、尿失禁など)、抑うつ、感情失禁(感情をコトロールできなくなって、ちょっとしたことで泣いたり怒ったりする)、夜間せん妄(やかんせんもう、夜に意識レベルが低下して別人のようにふるまう)などが早期から現れることがあります。

【国内における認知症の種類と割合】

引用元 内閣府 「認知症参考資料」令和5(2023)年4月19日 意見交換会資料-2/参考1
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001088515.pdf

認知症の診断基準

認知症の診断では、どのような症状がどの程度見られるか、それは何が原因であるか、また、症状が一時的なものであるかどうかなどを調べます。
診断内容については、厚生労働省や内閣府、学会団体などから、推奨される検査項目やテストの種類等が基準・ガイドラインとして提示されています。

大まかな検査と診断の流れは次の通りです(ただし病院や検査機関によって、検査項目や実施順序は変わります)。
まず、医師による問診と認知機能を調べるテストをいくつか受けます(口頭、または紙での回答)。
この段階で認知症が疑われる場合、次にCTやMRIなどの画像検査、血液検査などが行われます。
一時的な認知症が疑われる場合は、甲状腺ホルモンの状態や空腹時血糖の値なども調べることがあります。
こうした結果を総合的にみて、認知症であるかどうか、認知症であればその種類と度合い、すでに現れている症状などが診断されます。

医師などの専門職によるケアの重要性

認知症への対応では、医師、ケアマネジャー、介護士といった専門職の人たちからのサートがとても大切です。
認知症には多種多様な原因と、症状の現れ方があります。そして認知症と診断されても、現時点の医学では、完治できるほどの有効な治療方法がありません。とはいえ、適切な周囲からのケア・対応と、場合によっては服薬などの治療によって、認知症の進行はやわらげられるとされているのです。
また、心理的な変化も引き起こすことがあるため(うつうつとした気持ち、イライラなど)、それらに本人や家族がどう対処すればよいかも、専門家との連携があればその都度、相談することが可能です。

このようにきちんと診断を受け、定期的な通院などで経過を医師などに診てもらう、ケアマネジャーさんなどへ定期的に報告・相談していく流れを保つことは、認知症患者となったご本人にとっても、家族など周囲の方たちにとっても、安心・安全な対策と言えます。

家族と環境のサポートが重要

認知症になられたご本人は、これから先のことを不安に感じたり、なぜそうなっているかわからない(記憶していない)ことを家族に問われ、いら立ったりすることも多くなると予想されます。ご家族もまた、ご本人の様子が変わっていく状況にとまどったり、ショックを受けるなどして、家族間の雰囲気が変わる場面が増えるかもしれません。

そこでご家族にはまず、認知症について正しく知っていただき、むやみに悲しんだり腹を立てる「必要がない」ことを理解いただきたいと思います。
「認知症 家族向け パンフレット」などの用語でぜひ、検索してみてください。さまざまな自治体や企業から、認知症のご本人と家族について、上手な付き合い方などの情報が出されています。
その一例として、愛知県にある研究施設の下記パンフレットをご紹介しておきます。

●国立長寿医療研究センター「認知症を患う人を支えるご家族の方へ」
https://www.ncgg.go.jp/hospital/monowasure/documents/pamphlet2015.pdf

また、たいへんなときには外部へ助けを求めることも、ぜひ試してみてください。先にもお伝えしたように、わからないことは専門家へ尋ね、手助けしてもらっても大丈夫なのです。
たとえご本人がまだ介護度認定を受けていなくても、高齢者に関する相談は居住地域の「地域包括支援センター」で可能です。
在籍するケアマネジャーは高齢者についての知識が豊富で、参考になりそうな事例・情報もセンターに蓄積されています。センターでは個人情報保護法の遵守も定められているので、個人が特定できない形で「上手な対応事例」を教えてもらえたり、悩みを聞いてもらえるはずです。

そして、家族だけでは対応しきれない、と感じられた場合にはご本人の介護度を自治体へ認定してもらい、介護度に応じた訪問サポートや認知症対応型デイサービスの利用、認知症グループホームへの入居等を検討してみてください。そのことで罪悪感をもつより、ご本人のつらさや家族全員の疲弊・関係悪化をやわらげることのほうを、選んでいただければと願います。

たとえば認知症のデイサービスやグループホームは、利用者全員が認知症の症状を持つため、自分だけでない、とご本人も少し気がラクになられるかもしれません。
一緒に過ごす専門知識を持ったスタッフからは、個々の状況に合ったサポートをしてもらうことが期待できます。グループホームなら、先に述べたメリットやデメリットも含めて検討し、ご家族の状態に合ったサポートの形を見つけていってください。

なお、弊社の「介護なんでも相談室」でも、経験豊富なケアマネジャーが皆様の個別のご相談に応じています。会員登録いただければ、電話、掲示板、メール、LINEでのご相談が可能です。詳しくは下記のリンク先をご覧ください。




https://www.kaigo-soudan21.jp/column

グループホーム選びのチェックポイント

認知症グループホームは施設が大規模ではない分、希望する施設へすぐ入所できるとは限らない点に注意が必要です。

施設の環境と雰囲気を確認する

グループホームの選択は、入居希望者の居住エリア内でのみ可能です。そのため、もし居住エリアの外に希望施設がある場合、入居するためには、その近くへ引っ越す必要が生じます。また、希望する施設に空きがない場合、入居待ちとなります。

こうした点もふまえつつ、できれば入居希望者とご家族で、希望施設へ見学に行きましょう。インターネットや紙媒体からは得られない情報を、現地で得ることができます。

たとえば、建物の雰囲気や清潔さ加減、備品の状態、整理の度合い、建物の周囲や施設周辺の環境、立地条件などは、自身の目で確認するとよく理解できます。ときどき様子を見に行きたいなら移動手段や移動時間の確認、車での移動なら駐車場の状況などもチェックしたいところです。

さらに、施設内の人たちの様子も見てみましょう。スタッフの忙しさの度合い、話している様子、すでに入居者がいる場合は、どのような雰囲気で何をして過ごされているか。
スタッフ間の連携、スタッフと入居者あるいは入居者同士の、親しさの度合いなどはどうか。希望者がそこへ加わったと想定して違和感がないかどうか、確認できる機会です。

ケア内容やサポート体制の比較

入居者へのケアは、入居後、認知症が進行すればその段階に応じて、少しずつ内容が変化します。衣・食・住それぞれで、各段階にどのようなサポートがなされるか、内容と質の両方で、大まかな流れを事前に確認しておきたいところです。
入居者の24時間の時間割、スタッフの体制についても、気になる点があれば質問しておきましょう。

将来、病気などで容態が悪化した場合の対応も、確認が必要です。たとえば最期を迎えられるとき、看取り対応ができる施設は増えていますが、体制やご家族の医療面の希望内容などによっては、病院へ移送する必要が生じる可能性があります。
どの程度まで医療的ケアに対応してもらえるかも確認しておきましょう。

見学で感じるべきポイント

先に述べたように施設の様子、近隣の地域の様子、入居者とスタッフの様子を確認しておくことは大切です。可能ならば時間帯や曜日を変えて、2度ほど見学してみるとよいでしょう。
また、入居者の方やそのご家族がおられた場合、可能であれば、スタッフの人にも同席してもらって話を聞いてみるのも一つの方法です。

たとえば風邪などを引いたときはどのように医療機関へかかっているか、日常生活で何かの役割を担当されているか、その担当範囲を行うのはどう感じられるか。食事について、入浴について、など、気になることを尋ねてみると、施設の空気感を感じられると思います。

入居費用と補助制度の理解

入居にかかる費用を大きく分けると、介護保険制度でまかなえる部分と、実費分を支払う部分の2つになります。

月額費用の内訳(主な費用の一例)

認知症グループホームにおける月額費用は、ざっくり言えば、家賃と共益費、介護保険自己負担分、必要に応じた医療費や日常生活で必要な消耗品・外部サービス利用費、などとなります。
これらは自身の介護度や看護の状況、施設の立地や設備、サービス内容等によって、項目も費用も異なってきます。

一例として、弊社が2024年10月にオープンした兵庫県神戸市「たのしい家 神戸ジェームス山」の費用表を掲載します。共益費の内訳も表の下部、注記で確認できます。

低所得者などの弱者に対する支援━━生活保護や介護保険の活用

病気などで所得がなく、生活保護を受給している方でも、認知症グループホームに入ることができますが、入居できるのは受け入れることを自治体に申し出て認められた施設となります。
また、介護度など入居の条件等が一般的な場合と異なるため、担当のケースワーカーやケアマネジャーとともに検討や手続きを進めることとなります。

地域密着型の支援制度について

自治体の地域包括支援で実施されている認知症対策の例として、ここでは「認知症ケアパス」を取り上げます。厚生労働省の説明によると、認知症ケアパスとは

地域ごとに、発症予防から人生の最終段階まで、生活機能障害の進行状況に合わせ、
いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受ければよいのか、
これらの流れをあらかじめ、標準的に示したものです。
地域ごとに「認知症ケアパス」を確立し、認知症の人やその家族、医療・介護関係者等の間で共有され、サービスが切れ目なく提供されるようにその活用を推進しています。

とされています。

【認知症ケアパスのイメージ】


グループホームの法律と規制

最後に、グループホームに関する国内の法律やガイドライン、施策をまとめてご紹介します。政府や厚生労働省の情報リンク集となります。

入所のための法律事項、施設運営に関する基準

政府は、認知症グループホームについて

認知症(急性を除く)の高齢者に対して、共同生活住居で、家庭的な環境と
地域住民との交流の下、入浴・排せつ・食事等の介護などの日常生活上の世話と
機能訓練を行い、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにする。

と規定しています。

2024年9月2日には「認知症施策推進基本計画」の案を、関係者の会議でおおむね了承しました。この案は、認知症とともに希望を持って生きる、という「新しい認知症観」を基本としています。
今後、閣議決定を経て、各自治体で推進すべき施策計画へと進んでいく予定です。

かなり硬い文書ですが、了承された計画書案のリンクを張っておきますので、興味のある方は目を通してみてください。

内閣官房ホームページ 政府認知症施策推進基本計画(案) PDF
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ninchisho_kankeisha/dai6/siryou.pdf

また、現在、すでに進んでいる施策は、厚生労働省のホームページにまとめられています。

厚生労働省 福祉・介護
◆認知症施策(認知症に対する全般の情報まとめ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html

◆主な認知症施策(医療従事者や地域包括支援に関する情報)
ご本人の意思決定のための支援ガイドラインや、歯科医師・薬剤師、病院勤務の医療従事者向けに、認知症への対応力を向上させる研修・養成講習を推進する情報がまとめられています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00006.html


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。なお、弊社でも認知症グループホームを運営しております。ご興味のある方はご覧ください。

ケア21老人ホームなび_ロゴ画像
https://www.tanoshii-ie.jp/gh/

悩んでおられる方にとってよい対処方法が見つかり、また、入居を希望されている方は、よい認知症グループホームへの入居が叶いますことを、お祈りいたします。

出典・引用・参考
全国健康保険協会 高知支部 健康づくり「知って得するDr.川﨑の気になる病気」 【第67回】認知症
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/201903DrKninntisyou.pdf

日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo_2017.html

厚生労働省 介護・高齢者福祉 「認知症施策」
「1.認知症について知りたい方へ」「3.認知症施策を知りたい方へ」などの情報を掲載している
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html

上記のうち、とくに「認知症を理解する」のページでは、図表も用いて分かりやすい解説がある
https://www.mhlw.go.jp/seisaku/19.html

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